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2018年6月 4日 (月)

ポジティブ思考がとても危険である理由

人が病気や症状に対峙する場合に何が最も重要なことかということは、実はとてもハッキリしている様です。「現実から目を背けず、そして自分の心からも眼を背けず、それらを直視する」ということ。それは現代社会に生きる私たちにとって、最も単純であり最も難しいことでもあります。
In Deep より抜粋引用 リンク
◆ポジティブ思考がなぜ危険なのか?◆
しかし、現実としてこの世で言われている「ポジティブ思考」は、「現実からも、自分の本心からも目を背けて、イヤなことを考えることを避けているだけではないのか」と思うことがあるのです。カナダのガボーテ・マテという医師が今から 15年くらい前に記した『身体が「ノー」と言うとき ― 抑圧された感情の代価』という本の中の「ネガティブ思考の力」という章から以下の部分をご紹介させていただこうと思います。
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■ガボール・マテ著『身体が「ノー」と言うとき ― 抑圧された感情の代価』(2003年)より
健康への道をたどる第一歩は、いわゆるポジティブな考え方に固執しないことである。
私は緩和ケアの仕事をしていたときに、がんにかかったことに当惑し、しょんぼりしている人を嫌というほど見てきた。「私はいつもポジティブな気持ちでいたんですよ」と四十代後半のある男性は私に言ったものだ。「悲観的な気持ちになったことは一度もない。なのにどうして、私ががんにかからなければいけないんでしょう」救いがたい楽観主義への薬として、私はネガティブ思考の効用を勧めてきた。(略)「私が本当に役立つと信じているのは”思考”の力です」。
”思考”という言葉に「ポジティブ」という形容詞をつけたとたん、現実のうちの「ネガティブ」だと思われる部分は排除されてしまう。これはポジティブ思考を信じる人のほとんどに見られる現象である。本当のポジティブ思考は、あらゆる現実を認めるところから始まる。そこにいたるには、たとえどんな真実が出てこようとそれを直視できるという、自分に対する信頼感が必要なのである。
無理やり楽観主義になろうとするのは、不安に直面しないために不安を封じ込めるひとつの方法である。その種のポジティブ思考は、傷ついた子どもが身につける対処パターンである。それに気づかず、傷ついたまま大人になった人は、子どものころの自己防衛手段のなごりを一生持ち続けることになる。
病気は一対一になったふたつの問題を突きつける。ひとつは、その病気は過去と現在について何を語ろうとしているのかということ。もうひとつはこれから先、何が助けになるのかということである。多くの取り組みは、治療にかかわる一対の問いの後者にだけ目を向け、そもそも何が病気をもたらしたのかをろくに考えようとしない。本や雑誌、テレビやラジオにも、そのような「ポジティブ」思考の勧めは数多く見られる。
しかし、治療のためにはネガティブに考える勇気を奮い起こさなければならない。
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◆現実を直視しないようになるポジティブ思考◆
この前後も含めて、この著作には非常に納得できることが書かれてあるのですけれど、「ポジティブ思考」がなぜ良くないかというのは、その多くが、「現実を直視しないようになるから」です。これは現在では、患者本人にも治療者(主に医者)にもどちらにも言えるかと思います。つまり、「原因(自分の心や人間関係、家族関係など)を考え尽くすことはせずに、ただ治しましょう」と。
◆『なぜこのようになったか』を考えない◆
「患者も医者も『どう治しましょうか』ということだけを考えて、『なぜこのようになったか』を考えない」ということです。まあ、現実的に考えて、お医者さんがわざわざ「どうして、あなたはこのように(この病気や症状に)なったか」を考えることはないでしょうから、治療のほうはともかく、「原因」を考えられるのは病気になった本人だけだと思うのです。
◆良いところだけ見て『悪い部分』を考えない◆
ところが、ポジティブ思考は、悪いところを蒸し返さないので、「それをしなくなる」のです。良い部分だけを見て悪い部分を考えないようにしていると、「病気になった自分の中の本質の部分」は決して見えてこないはずです。
◆良いところと悪いところの両方を認識する=現実直視◆
何しろ、すでに「病気」という形でポジティブではないものが噴出しているわけです。それをどうポジティブだけで解決できるというのか。病気になっても「自分に対していつもポジティブに」考えていた人たちの、・生存率・再発率はどうだったかという話も、個人的に調べていたことがあります。自分の病気に対して、「根拠のない前向きさ」をもったり、「いつも明るい態度で周囲に振る舞っていたり」、「根拠のない希望を持っていたり」するようなポジティブな思考だった方々の多くがどのようになったか。
◆現実直視の先にこそ見出される可能性◆
最初のほうに例にあげたサーノ博士は、自分の潜在意識に痛みや症状の原因があるということを医学的メカニズムと共に説明しているのですが、しかし、その原因を自分で探り出す行為は「とても苦しい」ものです。なので、誰でもそれはイヤなのです。自分で考えたくもない「心の奥に仕舞ったままにしておきたい部分」を蒸し返すことは。
しかし、たいていは、その「見たくない自分の心」が病気や症状の原因の一端となっているということには、今では完全にそれを否定できる医学者はいません。




Bannister

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