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2016年10月30日 (日)

「自分より優秀な人間を挙げてみよ」と言われて、挙げることの出来た人数が、その人物の器の大きさを示す。

「デキる人々」が面接官にならない限り、その会社の平均以上の人材すら、確保するのが難しい。

「応募者を見極めてやろう」と言っていた本人が、その実、「応募者に見切られている」なんてことは枚挙にいとまがない。

したがって、採用活動をうまくやろうと思えば、まず「面接官の人選」が一にも二にも大事である。

面接官ひいては人の上に立つのに求められる資質とは?
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私が少し前にお手伝いした会社も、「面接官の人選」に苦労した会社のうちの一社だった。

その会社は伝統的に「チームリーダー」と、「役員」が面接官をしていたが、私が見る限り、有能な人物はその内のよくいって半分程度、のこりは「年功序列」で、能力にかかわらずその地位についた人物であった。

そこで私はおせっかいとは思いながらも、社長に、「今の面接官だと、なかなかよい人が採れないかもしれません。」と進言すると、社長はうなづき、「それは知っている。今年は彼等の適性を確かめてから、面接官に登用する」と言った。

私は思わず、「適性ですか?どのように確かめるのですか?」と社長に聞くと、社長は、「では一緒にお願いします。ちょうどこれから適性を確かめる面談だから。」と、私をその場に残した。

そして10分後、一人の役員が入室した。

社長は彼に話しかける。「今日は、採用の面接官をやってもらうかどうか、少し考え方を聞きたくて来てもらった。今からする質問に答えて欲しい。」

その役員は、「はい。なんなりと聞いてください。」と言った。

私は、「どんな質問をするのだろう?」と、期待していたのだが、意に反して、社長は役員に当たり障りない質問を投げかける。

「どんな人を採りたいか?」

「応募者の何を見るか?」

「どんな質問をするか?」

そういった、ごく当たり前の話だ。

応募者もそういった質問は想定済みらしく、当たり障りない回答、模範的な回答を行う。

私は「どうしてこれで適性がわかるのだろう…」と、不思議だった。

そして、20分程度の時間が経ち、社長が言った。

「では、最後の質問だ。誰を面接官にすべきかの参考にしたいので、身の周りで、自分より優秀だと思う人を挙げてみてくれ」

役員は不思議そうな顔をしている。

「…自分より優秀…ですか?」

「そうだ。」

役員は苦笑して、「まあ、お世辞ではないですが、社長、あとは◯◯さんです。」と答えた。

「◯◯さんか、なるほど。まあ、役員の中では確かに頭抜けて優秀かもしれないな。因みに理由を教えてくれないか?……うん、ありがとう」

そして、面談は終了した。


そして、その後2人ほどの役員とリーダーに同じような質問をし、3人目の面接となった。彼はリーダーであったが、次期役員候補と目される人物であった。

最初の役員と同じような質問が社長から投げかけられた後、最後のお決まりの質問となった。

「では、最後の質問をいいかな?誰を面接官にすべきかの参考にしたいので、身の周りで、自分より優秀だと思う人を挙げてみてくれ」

そのリーダーは、ちょっと考えていたが、やがて口を開いた。

「まず◯◯さん、洞察力と、営業力が素晴らしいです。つづいて、◯◯さん、営業力はあまり無いですが、人望があり、人をやる気にさせる力がずば抜けています。リーダーの◯◯さん、現場を任せたら社長よりもうまいでしょう…すいません。そして、うちの部の◯◯さん、新人なんですが、ハッキリ言って私よりも設計する力は上です。」

社長はニコッと笑って、「ずいぶんと多いな。」という。

「当たり前です。皆私よりもいいところがあり、そして、私に劣るところがある。」

「分かった。ありがとう。」

「というわけで、面接官はアイツに決定だな。」

「そういうことですか…。」

「彼は器が大きいんだ。私よりも上かもな。私はまだまだ変なプライドがあるからな。」

「確かに、面接官に変なプライドは邪魔ですね。」

「そうだろう。「身の回りで、自分より優秀な人間を挙げてみよ」と言われて、挙げることの出来た人数が、その人間の器の大きさだよ。」

「…」

「今年こそ、採用をきちんとやりたいな。まあ、彼に任せれば大丈夫だろう。」

そして、社長の予想通り、そのリーダーは素晴らしい人物を数多く採用した。

時には応募者に教えを請い、時には応募者を説得し、八面六臂の素晴らしい活躍だったそうだ。

今でも面接官をやる度にあの社長の言葉を思い出す。

変なプライドは不要なのだ。

文太

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